コラム4

【目次】
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2 森田療法の治療対象:定型と非定型
3 関連事項


森田療法の治療対象:定型と非定型



 かねてから森田療法では、森田療法の治療に適応する患者さんを「定型」、適応しにくい患者さんを「非定型」と表現してきました。
 「定型と非定型」とは、患者さんの心性特徴を指し、その詳細は以下のようになります。

 定型的な不安障害(神経症)
 ・精神的な弱さとそれに逆らおうとする強さを同時に持つ。
 ・精神交互作用、思想の矛盾など、森田学派の唱える症状発生原因やプロセスに基づく症状と、それに伴う不安(予期不安、適応不安など)が認められる。  
 ・内向性や完全欲が強いなどの神経質傾向が認められる、など。
(参考文献:『外来森田療法のガイドライン』日本森田療法学会)

 非定型的な不安障害(神経症)
 ・精神的な弱さが主で、それに逆らおうとする強さがあまりない。  
 ・精神交互作用、思想の矛盾など、森田学派の唱える症状発生原因やプロセスに基づく症状と、それに伴う不安(予期不安、適応不安など)が認められない。  
 ・内向性や完全欲の強さなどの神経質傾向が認められない。  
 ・自我の形成が遅れている、など。

 現代における「定型と非定型」の傾向
 近年、森田療法での治療に向かない「非定型」の患者さんが増加してきたことについて、精神科医 北西憲二氏は、以下のように述べています。

「現代社会では、森田の時代のような訴えの焦点がはっきりした古典的な表現形をもつ神経症が減少し、境界のはっきりしない不安、抑うつを訴える神経症あるいは人格障害が増えてきました。このような現代の神経症や人格障害には、しばしば伝統的な森田療法では対応が困難となります」
出典:『心理療法プリマーズ 森田療法 (北西憲二、中村敬 編著)』 ミネルヴァ書房(2005)143頁 「9 森田療法を学ぶ人のために(研修システム」北西憲二

文章:野中 剛

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