
予告編
解説
ドキュメンタリー映画「ヒポクラテスと蓮の花」からのスピン・オフ作品
2009年、京都、東福寺の境内にある神経科病院、“三聖病院”における治療の実際を紹介したドキュメンタリー映画「ヒポクラテスと蓮の花」が完成しました。その制作の際、三聖病院院長 宇佐晋一氏に、10時間を超えるロング・インタヴューが行われました。しかし、作品にはそのごく一部しか使用されていません。
「三聖病院 宇佐療法という宇宙」は、使用されなかったインタヴューと、古き良き日本建築である三聖病院の風景だけで構成された作品です。
三聖病院に入院経験があり三聖病院を愛する方々、禅的森田療法や精神療法の研究をなさっている方々に最適のDVDと言えます。

医学と宗教の交差点、三聖病院
1922年に創立された京都、東福寺の境内にある“三聖病院”は、森田療法の入院療法を行う神経科病院ですが、創始者が禅僧であったため、禅の影響を強く受けていると言われています。入院患者は“修養生”と呼ばれ、修行僧のような、私語の禁止された規律正しい生活の中に置かれます。
院長である宇佐医師は、「自分の心を言葉にするから神経症になる。概念化しないこと、無になること、悟りに到達することが治癒。自分を隠した建前の生活が大切」と、一貫して主張します。
そして院内には「しゃべる人は治りません」という張り紙があちらこちらに張られています。しかし、それ以上の三聖病院の実態は実はあまりよく知られておらず、精神医療界の中でも、長く神秘的なベールに包まれていました。

宇佐晋一、かく語りき
DVDの中で宇佐院長は、自身の精神療法について語り尽くします。
神経症の病理、三聖病院における森田療法第1~4期の意味、“不問”について、修養的生活の意味、食事の作法、三聖病院の歴史、先代院長のこと、治癒と悟り・・・など。
特に“不問”に関する解釈は、従来の森田療法の考え方とは異なる三聖病院独特のもので、宇佐療法(禅的森田療法)の根幹をなす部分と言えます。
講話でも書籍でも、宇佐院長がここまで丁寧に語っているものは他にないでしょう。 また、この先の日本に、三聖病院のような病院はもう現れてこないでしょう。
「三聖病院 宇佐療法という宇宙」は、日本の精神医学史の中でもユニークかつ貴重な記録と言えます。

クレジット
出演: | 宇佐晋一 |
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企画・製作: | 日本精神療法振興会 |
医学監修: | 丸山 晋(医学博士、精神科医) |
撮影・録音: | 田山 滋 |
制作: | 有限会社ランドスケープ |
編集・監督: | 野中 剛 |
DVD / 16:9 / カラー / ステレオ / 72分 / 本体価格:9,074円(税抜) 2009年度作品 |