画質を向上させたデジタル・リマスター版DVD。 第16回パルヌ国際ドキュメンタリー・人類学映画祭招待作品。
【目次】 | |
---|---|
1 | Top |
2 | 予告編 |
3 | 推薦 |
4 | 推薦の言葉 河合隼雄(心理学者) |
5 | 解説 |
6 | 批評記事 |
7 | 藤田千尋・プロフィール |
8 | 「常盤台神経科」パルヌに行く |
9 | クレジット |
10 | 関連事項 |
11 | DVDの仕様・ご購入 |
予告編
>>ロング・バージョン(5分)
推薦
河合隼雄(心理学者)
推薦の言葉
森田療法は、我が国に生まれ、国際的にも知られている数少ない心理療法のひとつである。私自身は森田療法家ではないが、日本人である限り、どのような学派に属していても森田療法的な観点や技法から何かを学んでいる、と思っている。
日本人は宗教が日常生活のなかに混然として溶けこんでいるような生き方をしているのだが、このビデオを見ていると、そのことが強く感じられる。「仏教」ということが正面から語られはしないが、作業などの日常の仕事のなかに、森田療法のもっていた深い日常性が感じられてくるのである。
このあたりのことを言語によって説明したり、伝えたりするのは大変難しいのだが、ビデオという媒体が、このことを可能にする上で大いに役立っていると思われた。大学院などで心理療法を学ぼうとする人たちのためのよき教材となるであろう。
日本人は宗教が日常生活のなかに混然として溶けこんでいるような生き方をしているのだが、このビデオを見ていると、そのことが強く感じられる。「仏教」ということが正面から語られはしないが、作業などの日常の仕事のなかに、森田療法のもっていた深い日常性が感じられてくるのである。
このあたりのことを言語によって説明したり、伝えたりするのは大変難しいのだが、ビデオという媒体が、このことを可能にする上で大いに役立っていると思われた。大学院などで心理療法を学ぼうとする人たちのためのよき教材となるであろう。
河合隼雄(心理学者)
解説
森田療法ではどう治っていくのか?
森田療法は、神経症(不安障害)の症状を異物として取り除くのではなく、心の自然な反応として受け止める、日本独自の精神療法です。
森田療法ビデオ全集の第2巻にあたる本作は、入院森田療法の紹介。一人の患者さんの入院から退院までの3ヶ月を追った、これまでにない貴重なドキュメンタリーです。
入院森田療法の実際
東京の閑静な住宅街にある常盤台神経科。ある冬の日、対人恐怖に悩む女性が入院をします。彼女は入院中、様々な不安症状に苦しみながらも、藤田千尋院長の指導のもと、治癒への道を歩んでいきます。
森田療法の基本的な治療構造は「診察(森田療法的アドバイス)」と「アドバイスに添った生活実践」の繰り返しです。それは入院森田療法も外来森田療法も同じです。
カメラは、入院環境での「診察」と「生活実践」の繰り返しを主軸に、治癒までの彼女の心の軌跡を丁寧に追います。
また作品の随所には、藤田医師による神経症(不安障害)の病理(からくり)、森田療法における治療、治癒などに関する解説が織り込まれます。
森田療法ではどのように治っていくのか? 見て体験する入院森田療法。
治療者の方、外来森田療法の受診を検討されている方にとっても、大変参考になるDVDです。
(弊社、ランドスケープで販売しているものは、良質な画質のデジタル・リマスター版DVDになります)。
森田療法は、神経症(不安障害)の症状を異物として取り除くのではなく、心の自然な反応として受け止める、日本独自の精神療法です。
森田療法ビデオ全集の第2巻にあたる本作は、入院森田療法の紹介。一人の患者さんの入院から退院までの3ヶ月を追った、これまでにない貴重なドキュメンタリーです。
入院森田療法の実際
東京の閑静な住宅街にある常盤台神経科。ある冬の日、対人恐怖に悩む女性が入院をします。彼女は入院中、様々な不安症状に苦しみながらも、藤田千尋院長の指導のもと、治癒への道を歩んでいきます。
森田療法の基本的な治療構造は「診察(森田療法的アドバイス)」と「アドバイスに添った生活実践」の繰り返しです。それは入院森田療法も外来森田療法も同じです。
カメラは、入院環境での「診察」と「生活実践」の繰り返しを主軸に、治癒までの彼女の心の軌跡を丁寧に追います。
また作品の随所には、藤田医師による神経症(不安障害)の病理(からくり)、森田療法における治療、治癒などに関する解説が織り込まれます。
森田療法ではどのように治っていくのか? 見て体験する入院森田療法。
治療者の方、外来森田療法の受診を検討されている方にとっても、大変参考になるDVDです。
(弊社、ランドスケープで販売しているものは、良質な画質のデジタル・リマスター版DVDになります)。
批評記事
NPO法人 生活の発見会 発行 「生活の発見」2001年9月号
評者:増野 肇(精神科医)
↓クリックで拡大されます。
藤田千尋・プロフィール
1923年 | 長崎県生。 |
---|---|
1948年 | 東京慈恵会医科大学卒業。 |
1950年 | 同大学精神医学教室入局。 |
1960年 | 同教室講師。 |
1961年 | 自宅敷地内に 精神科診療所「常盤台神経科」を開設。 |
1983年 | 森田療法学会理事。 |
1986年 | 英書「Morita Therapy」(医学書院)を出版。 |
1989年 | 第七回森田療法学会会長。 |
1992年 | 第三回森田正馬賞受賞。 長年の「治療的生活共同体」と呼ぶべき、入院森田療法や森田療法に関する研究活動が評価される。 |
1999年 | ビデオ「森田療法ビデオ全集1 生きる」で、 森田療法を解説。 |
2001年 | ビデオ「森田療法ビデオ全集2 常盤台神経科」で、入院森田療法を解説。 |
2013年 | 「常盤台神経科」を閉院。 |
2014年 | 3月6日 永眠。 12月 著書「森田療法 その本質と臨床の知」出版。 |
「常盤台神経科」パルヌへ行く
~パルヌ国際ドキュメンタリー・人類学映画祭報告~
「森田療法ビデオ全集 第2巻 常盤台神経科」
監督 野中 剛
「森田療法ビデオ全集 第2巻 常盤台神経科」
監督 野中 剛
バルト3国、エストニアの避暑地パルヌで毎年行われる「パルヌ国際ドキュメンタリー・人類学映画祭」は2002年で16回目を迎える権威ある映画祭です。
エストニアがまだソビエトの一部であった時代、エストニアの人類学者がフィールド・ワーク中にソビエト兵に射殺されたことを忘れぬために創始されたそうです。また、大統領夫人が人類学者であるということもあって、国を挙げてこの映画祭をバックアップしている様子がうかがわれました。クロージングパーティーには大統領夫妻も参加し、テレビで生中継されるほどの盛況ぶりでした。
2002年のパルヌ映画祭では、「常盤台神経科」を含め、世界各国から合計40作品が招待上映されました。その内容は、少数民族の紹介、民族の抱える問題や紛争、先進国の風俗と抱える問題、現代人の家族問題など、映画祭全体を通して、現在の人間の立脚点が見えてくる、そんなポリシーをひしひしと感じる映画祭でした。その点が権威ある映画祭として、世界的に認められている由縁でしょう。
さて、「常盤台神経科」、そして森田療法は、ヨーロッパでどのように受け止められたのでしょう。もちろん、映画祭は医学の学会ではなく、ドキュメンタリー映画を愛する人のための集いですから、観客は当然、森田療法に興味を持って観に来ているわけではありません。しかし、だからこそ先入観のない、率直な意見を耳にすることができました。
「主人公に共感しながら見た。一緒にセラピーを受けている感覚になった」
「長い作品だったけれども、途中で席を立つことができなかった」
「ミッシェル・フーコーが見たら、大変興味をもっただろう」
「とても興味深く見た。しかしこのような鍛錬を要する精神療法は、西洋人には無理だろう」
「主観と客観の表現方法がユニークで洗練されていた」
「小津安二郎とフレデリック・ワイズマンを彷彿させる作品。彼らの作品と比べて論じると面白いだろう」
「面白かった。私はこの西洋にはない精神療法を素晴らしいと思う。しかし、西洋人にこの精神療法を理解させるのは難しいと思う。西洋と東洋の間には、見えない透明の壁があるから」
「現実を受け止め、生活をしていくということ。この作品はそれを伝えてくれている。これは貴重で、重要な作品である。忘れてはいけないことは、監督の被写体と人間全体に対する敬意と深い愛を感じさせることである。この作品はユニバーサルな作品であり、監督の投げかけるメッセージは、地球上のすべての人に理解されるだろう」
自然や動物は、この地球の上で調和して生きています。しかし、私たち人間はどうでしょう? 今の人間は、欲と利己主義の霧に深く覆われ、自分たちの居場所を見失ってしまっている。そして、人間として当たり前のことさえ見えなくなってしまっている。私にはそう思えて仕方がありません。私たち人間はどう生きたらいいのか?
深い霧の中を進むためのいくつかの道しるべ、その一つが森田療法の中にあるのではないか? 私はそんな思いで「常盤台神経科」を監督しました。今回、人間存在をしっかり見据えようとするポリシーある国際映画祭に招待され、そして、観客からの好意的な感想を耳にして、ヨーロッパの人々も、私の思いに共感してくれたような気がします。
映画制作のプロセスは、困難と苦労の連続です。今回「常盤台神経科」がパルヌ映画祭の招待作品になったことが、苦労を共にした関係者への最良のねぎらいになればと願って止みません。
エストニアがまだソビエトの一部であった時代、エストニアの人類学者がフィールド・ワーク中にソビエト兵に射殺されたことを忘れぬために創始されたそうです。また、大統領夫人が人類学者であるということもあって、国を挙げてこの映画祭をバックアップしている様子がうかがわれました。クロージングパーティーには大統領夫妻も参加し、テレビで生中継されるほどの盛況ぶりでした。
2002年のパルヌ映画祭では、「常盤台神経科」を含め、世界各国から合計40作品が招待上映されました。その内容は、少数民族の紹介、民族の抱える問題や紛争、先進国の風俗と抱える問題、現代人の家族問題など、映画祭全体を通して、現在の人間の立脚点が見えてくる、そんなポリシーをひしひしと感じる映画祭でした。その点が権威ある映画祭として、世界的に認められている由縁でしょう。
さて、「常盤台神経科」、そして森田療法は、ヨーロッパでどのように受け止められたのでしょう。もちろん、映画祭は医学の学会ではなく、ドキュメンタリー映画を愛する人のための集いですから、観客は当然、森田療法に興味を持って観に来ているわけではありません。しかし、だからこそ先入観のない、率直な意見を耳にすることができました。
「主人公に共感しながら見た。一緒にセラピーを受けている感覚になった」
「長い作品だったけれども、途中で席を立つことができなかった」
「ミッシェル・フーコーが見たら、大変興味をもっただろう」
「とても興味深く見た。しかしこのような鍛錬を要する精神療法は、西洋人には無理だろう」
「主観と客観の表現方法がユニークで洗練されていた」
「小津安二郎とフレデリック・ワイズマンを彷彿させる作品。彼らの作品と比べて論じると面白いだろう」
「面白かった。私はこの西洋にはない精神療法を素晴らしいと思う。しかし、西洋人にこの精神療法を理解させるのは難しいと思う。西洋と東洋の間には、見えない透明の壁があるから」
「現実を受け止め、生活をしていくということ。この作品はそれを伝えてくれている。これは貴重で、重要な作品である。忘れてはいけないことは、監督の被写体と人間全体に対する敬意と深い愛を感じさせることである。この作品はユニバーサルな作品であり、監督の投げかけるメッセージは、地球上のすべての人に理解されるだろう」
自然や動物は、この地球の上で調和して生きています。しかし、私たち人間はどうでしょう? 今の人間は、欲と利己主義の霧に深く覆われ、自分たちの居場所を見失ってしまっている。そして、人間として当たり前のことさえ見えなくなってしまっている。私にはそう思えて仕方がありません。私たち人間はどう生きたらいいのか?
深い霧の中を進むためのいくつかの道しるべ、その一つが森田療法の中にあるのではないか? 私はそんな思いで「常盤台神経科」を監督しました。今回、人間存在をしっかり見据えようとするポリシーある国際映画祭に招待され、そして、観客からの好意的な感想を耳にして、ヨーロッパの人々も、私の思いに共感してくれたような気がします。
映画制作のプロセスは、困難と苦労の連続です。今回「常盤台神経科」がパルヌ映画祭の招待作品になったことが、苦労を共にした関係者への最良のねぎらいになればと願って止みません。
クレジット
出演: | 藤田千尋、常盤台神経科入院患者の方々 |
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製作: | 岡本常男(公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団) |
医学監修: | 丸山 晋(精神科医) |
撮影・録音: | 田山 滋 |
協力: | 公益財団法人メンタルヘルス岡本記念財団、NPO法人 生活の発見会 |
制作・著作: | 有限会社ランドスケープ |
編集・監督: | 野中 剛 |
DVD / 4:3 / カラー / ステレオ / 120分 / 本体価格:5,800円(税抜) オリジナル版:2001年、DVD版:2016年度作品 |
関連事項
森田療法ビデオ全集 | 禅的森田療法 |
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