【目次】 | |
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1 | Top |
2 | 森田療法と薬物療法 |
3 | 関連事項 |
森田療法と薬物療法の関係については、以下のように多くの治療者が言及しています。
「森田療法は入院治療を原則とするが、今日、抗精神薬の開発により、神経症にあっては通院でも治療が十分に行えるようになった」
出典:『新版 森田療法入門 生きるということ』(田代信維 / 創元社 / 2005 / 232頁)
「原法では抗不安薬などの妙薬がなかった時代の治療法なので使用されていないが、今日では、神経症は病状を軽快させる特効薬があるので好んで用いられている」
出典:『新版 森田療法入門 生きるということ』(田代信維 / 創元社 / 2005 / 154頁)
「森田療法では、薬物療法は補助的な位置づけを明確にした上で用いることが原則です。当面の症状や不安をある程度軽減して、これとつきあいながら生活を立て直すための助けとするとの意味合いを確認し、併用の要否を患者と相談して決定します。したがって、症状の消長によって増減することは禁じて、少量の抗不安薬などを規則的に服用するのが一般的です」
出典:『心理療法プリマーズ 森田療法 (北西憲二、中村敬 編著)』 ミネルヴァ書房 / 2005/「7 外来治療」立松一徳 / 109〜110頁
「 現代の森田療法では薬物療法を併用することも多く見られます。しかし、薬物中心の治療とは薬物の使用に対する考え方に違いが見られます。それは、次のようなことです。
①実際に使う薬は、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入剤など。
②症状の改善という本来の効果を知っていても、あくまで補助として使用し、「これを飲むことによって症状をもったままの生活でも幾分やりやすくなる、ということが薬を飲む目的です」と伝えて処方する。
③定期的に服用する。(中略)薬自体の効果はありますが、飲めば100%効くというわけではないので、飲んでいる薬の効果がどうであれ定期的に服用するようにします」
出典:『心理療法プリマーズ 森田療法(北西憲二、中村敬編著)』ミネルヴァ書房 / 2005 / 「4 外来森田療法Ⅱ(パニック障害・診療内科における森田療法)」伊藤克人 / 206~207頁
「最近では生物的要因も関与していることが指摘され、「強迫性障害」の名称が用いられるようになりました。実際、治療においてもクロミプラミンに加え、SSRIなどの薬物療法が積極的に用いられ、その治療の幅が広がりつつあります。しかしながら、薬物療法のみで治療が完結するとは言い難く、心理的療法も用いながら患者の強迫的なありかたを修正していくことが必要です」
出典:『心理療法プリマーズ 森田療法(北西憲二、中村敬編著)』ミネルヴァ書房 / 2005 / 「6 外来森田療法Ⅳ(強迫性障害)」久保田幹子 / 230頁
「薬物療法は、不安や症状をもちろん抜本解決するわけではありませんが、患者が、自らが不安恐怖するところのものに直面しようとするときに、不安や緊張を和らげ行動しやすくする効果を持つでしょうし」
出典:『心理療法プリマーズ 森田療法(北西憲二、中村敬編著)』ミネルヴァ書房 / 2005 / 「12 外来森田療法Ⅹ(クリニックのシステムとして)」比嘉千賀・原田憲明 / 346頁
「薬を使わないというのは、森田先生の時代やかなり昔のことであり、現在では必要に応じて薬を併用しているところが多いでしょう。
(中略)しかし、薬物はあくまで補助的なものであり、不安や症状と付き合いつつ、必要な行動に取り組む際の踏み台のような役割になります。当然、症状の状態や程度によっては薬を使わないこともあります。つまりケース・バイ・ケースということです」
出典:『新時代の森田療法 〜入院森田療法最新ガイド〜』慈恵医大森田療法センター編 / 白揚社 / 2007 / 95、96頁 /「Ⅲ 森田療法Q&A」
「とくに治療の初期段階では、不安が強いためにかえって身動きが取れなくなってしまうこともあります。そうしたときには、無理に自分の力だけで頑張ろうとせずに、当座は薬の力を借りながら、新しい行動に踏み込むことを優先していきましょう。そこでの体験の積み重ねから、不安と付き合う姿勢が培われたならば、徐々に減量し、最終的に薬をやめることは可能なのです」
出典:『新時代の森田療法 〜入院森田療法最新ガイド〜』慈恵医大森田療法センター編 / 白揚社 / 2007 / 97頁 /「Ⅲ 森田療法Q&A」
「薬物の併用によって、たとえば重症の強迫神経症やうつ病の人に対しても森田療法の適応が広がったことは事実です。とくに最近では、SSRIというタイプの薬物がパニック障害や強迫性障害などに広く用いられています。しかし一方では、社会恐怖(緊張型の対人恐怖症)や心気障害のように、薬物を用いなくても森田療法単独で十分改善が見込まれる病態があります。したがって現代の森田療法の治療者は、診断や重症度などを考慮に入れて薬物の併用を柔軟に考えるようになっています」
出典:『新時代の森田療法 〜入院森田療法最新ガイド〜』慈恵医大森田療法センター編 / 白揚社 / 2007 / 56、57頁 /「Ⅰ 森田療法とはどのような治療法か 9 薬物療法の併用について」
「対人恐怖の重症度によっても違うと思うんです。なんとなく人から見られている、見透かされている。対人恐怖の中でも重いほうですね。やはりこれは、服薬ということが結構、要(かなめ)になってくると思います」
出典:『第131回心の健康セミナー「森田療法は我々に何を教えてくれるのか」』 樋之口潤一郎 /2013.04.13 / 動画掲載HP:https://lineblog.me/mental_health/archives/198207.html